上司や取引先に年賀状を出す時に守るべきマナー&注意点

礼儀・マナー

日本文化における年始の挨拶といえば、代名詞とも言える年賀状。
でも、今やメールやSNS等のツールで済ませる人も多くなり、若い世代ほど「年賀状を書いたことがない」という人も多くなると思います。

ところが、社会人になると上司や取引先の担当者に宛てて年賀状を書く機会が生まれたりして、困惑する方の声を目や耳にします。

そこで今回は、上司や取引先に年賀状をだす時に守るべきマナー&気をつけるべき注意点について紹介します。

 

1.確実に元旦に届けよう

年賀状は、実は1月7日(松の内)までに届けばルール的には問題ありません。

ただし、伝統的に目上の方からの年賀状が先に届くのは失礼にあたる(心象が良くない)という慣例的なマナーもありますし、年始の挨拶状ですから、やはり新年の初日、「元旦」に確実に届くように準備しましょう。

ちなみに確実に元旦に届けるためには、日本郵便が年賀状の受付を開始する12月15日から12月25日迄に投函する必要があります。

逆にいえば、元旦に届かないことは、「上司への挨拶状の準備をおろそかにしていた」といった印象を与える恐れがあるという訳ですね。

師走の慌ただしい年の瀬ですので、年賀状の準備をするのは中々に大変な場合も多いと思います。
それでも、仕事納めの後に「忘れていた!」と慌てて書く事がないように、しっかりと準備しておきましょう。

 

2.宛名の書き方に注意しよう

宛名の書き方といっても、住所や名前、肩書や敬称など、注意するポイントは多々ありますので、順を追って1つずつ確認しましょう。

縦書きと横書きでは、縦書きが無難。

今は通信面(=絵柄面=デザイン面)をプリントするケースが殆どですので、横書きのデザインに併せて宛名面も横書きにする方もいます。

ただ、日本語の挨拶状は古来より縦書きとして生まれた文化で、年賀状も例に漏れず縦書きが慣例になっています。

また、郵便はがき自体も縦書き用に作られていますので、(名前を含め欧文で書く場合など)よほど特別な事情がなければ、横書きは控え、縦書きで書く方が無難といえます。

 

住所の書き方

年賀状の宛名面の住所の書き方

【1】住所の書き出し位置は、郵便番号の枠下に1文字以上、はがきの右端から1行以上あけて書きます。

【2】番地や部屋番号には漢数字を使用します。

【3】ビルやマンションなどの建物名がある場合は、2行目に、1行目よりも1文字分下げた位置から書くようにします。

【4】県名や建物名は、たとえ相手が親しい間柄の場合でも、省略せずに全て記載するのがマナーです。

 

宛名の書き方(上司に宛てる場合)

自社の上司宛の場合は、おそらく自宅住所に出す場合が多いと思います。

年賀状の宛名面の先方の名前の書き方

【1】郵便番号の左から2番目の数字を目安にして、その下に1文字分あけて大きめの文字ではっきりと記入します。

【2】姓と名の間も1文字あけ、更に1文字分あけて、相手にあわせた敬称を記入します。

※言うまでもなく、名前を間違えるのは相手に対して最も失礼な行為となります。そこで特に注意したいのが、個人名でも組織名でも、漢字です。
常用外の漢字や旧字などの間違いは特に見落としやすいので、十分に注意する必要があります。

 

ご家族とも面識や交流がある場合(連名)

職場の規模や関係性によっては、ご家族の方にもお世話になっていたり、一人ではなく、ご家族に宛てて出す場合もあるかも知れません。
そんな時は、下記のように宛名を連記してだせばOKです。

年賀状の宛名で連記する場合は、、同姓なら二人目以降の姓は省略します。敬称はそれぞれにつけます。

【1】宛名を連記する場合は、一人ずつ全員に敬称をつけます。

【2】家族宛で姓(名字)が同じ場合は、二人目以降は姓を省略し、名のみ書きます。

 

 

取引先の方に送る場合(会社名+個人名の場合)

取引先の方へ年賀状を書く場合は、会社名や部署名、さらには役職なども書く必要があります。

年賀状の宛名書きで、取引先の個人に宛てる場合、敬称は個人名へのみで構いません。

【1】先方に応じて、法人名・部署名・役職・姓名・敬称の順に書きます。
※株式会社や有限会社の後先にも十分に注意します。

【2】個人に宛てる場合、法人名への敬称は入りません。
※「○○会社御中 ○○様」といったように敬称を重ねないように注意しましょう。

【3】役職を付ける場合は、必ず名前の前に書きます。
(例)誤:「●●●● 部長様」→ 正:「部長 ●●●● 様」
※役職・肩書が複数ある場合や長い場合は、名前の右側に記載すればOKです。

【4】取引先への年賀状では、送る相手が複数名いても連名はNGです。
※それぞれの名前で個別に出すか、同じ部署なら部署名に宛てて出すようにしましょう。

 

差出人の書き方

差出人情報は、左下の郵便番号の枠の幅を目安にして、宛名より少し小さめの文字で書きます。

【1】宛名面に差出人情報を書く場合は、差出人の情報は左下にある郵便番号の枠幅に合わせて、少し小さめの文字で書きます。

【2】あらかじめ裏面(通信面=絵柄面=デザイン面)に会社名や住所が印刷されたものを使用する場合は、宛名面に書く必要はありません。
※裏面が自社で共通デザイン等の場合は、個人名などの有無を確認のうえ、適宜、自分の個人名などを追記するようにしましょう。

 

通信面(絵柄面・デザイン面)の書き方

年賀状の通信面(=絵柄面=デザイン面)の書き方に関しては、基本的に次の5つの要素で構成します。

1.賀詞・・・文頭に入れる、新年を祝う言葉です。
2.お礼・・・昨年お世話になったことに対するお礼の言葉。
3.指導のお願い・・・今後の支援や厚情をお願いする言葉。
4.繁栄祈願・・・先様の健康や繁栄を祈る言葉。
5.日付・・・「令和●年 元旦」もしくは「20●●年 元旦」になります。
6.差出人名(※)・・・表面に書いていない場合は書きましょう。

以下に、それぞれの要素毎に注意点とマナーを確認しましょう。

1.賀詞の選び方

賀詞には「寿」「迎春」「謹賀新年」「新年おめでとうございます」といったように、長い言葉から漢字1文字の短いものまで多々ありますが、1文字や2文字の賀詞は同僚や後輩など目下の人向け、恩師や上司など目上の方には4文字や文章になった賀詞を使うといったマナーがあります。

そのため、上司や取引先の方へ送る年賀状では、必ず漢字4文字の賀詞や、「謹んで新年のお慶びを申し上げます」等の丁寧な表現の賀詞を選びましょう。

※なぜ「福」といった1文字や「賀正」「賀春」などの2文字の賀詞が失礼にあたるのか?
1文字や2文字の賀詞には、「新年」や「めでたい」という意味しかなく、言ってみれば「略語」のようなものです。
つまり、1文字や2文字の賀詞で送ることは、現代風にいうと「あけおめ」と書いて送るようなニュアンスになります。
そう考えると、なぜ失礼にあたるのかが分かりやすいと思います。

■賀詞の例

(文字数) (賀詞の例) (適した相手)
1文字 寿、福、春、賀、慶、禮 後輩/目下の人
2文字 賀正、迎春、賀春、初春、頌春、年賀 友人/目下の人
4文字 謹賀新年、恭賀新春、慶雲昌光、瑞祥新春、敬頌新禧 目上の方
文章型 新春のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお喜びを申し上げます
新年おめでとうございます
明けましておめでとうございます
誰にでも使える
外国語 Happy New Year 友人/親しい人

 

2.挨拶文のマナー

句読点を使わないようにしよう

挨拶文には「、」や「。」などの句読点を使用しないという慣習があります。

これは年賀状に限った話ではありませんが、句読点とは元々、文字をうまく読めない人が読みやすいように使われ始めたと言われており、一般的に「相手に敬意を払った文章には使用しない」というのが昔からの慣例になります。

また、年賀状は慶事の挨拶状になりますので、「区切りなし」という意味も兼ねて句読点で区切らない方が良いという慣習もあります。

上司や取引先の方は、もちろん敬意を払う相手になると思いますので、素直に句読点は使わないのが無難です。

※もしも文章が長くなる時には、改行やスペースを使って調整するのが良いでしょう。

忌み言葉を使わないようにしよう

また、慶事ではお馴染みですが「忌み言葉」にも注意が必要です。

特に、注意したつもりがやってしまいがちなのが「去年」という言葉で、「去」には「別れる」「離れる」といった意味が含まれてますので、「旧年・昨年」とするのがマナーです。

他にも、「枯れる」「衰える」「破れる」「失う」「倒れる」「滅びる」、などの単語も同様に使わないようにします。

これも年賀状に限らない慶事のマナーです。

 

3.文例・アレンジのポイント・その他の注意点

まずは、オーソドックスに使える文例をご紹介します。

なお、下で紹介するのはあくまでも一般的な文例になりますので、次の項で紹介するアレンジのポイント注意すべきポイントを参考にして、自分の立場や相手との関係性を踏まえて謝意の表現を変えたり、近況報告を加えたりするのも良いと思います。

一般的な文例

目上の方との交流の経験が少ない方にとっては、少し堅めの言い回しに感じるかも知れませんが、ご年配の方には馴染みのある、失礼のない表現になります。

(取引先宛の例1)
旧年中は格別のご愛顧をいただき誠にありがとうございました
本年が皆様にとって幸多き年となりますようお祈り申し上げます
本年も何卒ご愛顧のほどお願い申し上げます
令和○年 元旦

アレンジのポイント

年賀状の体裁としては、賀詞・日付・差出人さえ入っていれば、最低限の用件は満たしています。
そのため、上司や取引先に送る年賀状では、先方との日頃の関係性や共有するエピソードなども考慮して、次のポイントの文章をアレンジすると良いでしょう。

・2(お礼)
・3(指導のお願い)
・4(繁栄祈願)

※1(賀詞)・5(日付)・6(差出人)については、どれか一つでも欠けると賀状としての体裁を失うことになります。
※また、仮に日頃からアダ名や愛称で呼ばれるような間柄であっても、差出人名にあだ名や愛称を使用するのは避けた方が良いでしょう。

 

重複言葉に注意しよう

「重複言葉に注意しよう」というと「そんなこと分かってるよ~」と感じるものですが、届いた年賀状に楽しく目を通していると、意外とやってしまっているのを見かけませんか?

知らず知らずに使っていないか、もう一度、注意してみましょう。

例1)賀詞と本文で「賀詞そのものが重複」しているケース

例えば「賀正」など漢字の賀詞が、絵柄やイラストと共に大きめの文字で描かれているのに、
本文を「明けましておめでとうございます」などの文章型の賀詞から初めてしまうパターン。

つまり、賀詞(=同じ意味のこと)を2度も述べている訳ですから、恥ずかしいですよね。

例2)意味が重複する文章のケース

例えば「新年あけましておめでとうございます」という賀詞などは、よく見かけますが誤った言葉の代表例です。

「新年」には「年があけた」という意味が含まれていますので、「新年あけましておめでとう」と書いてしまうと、同じ意味の言葉が重なっていて訳が分からない意味になります。

※これはお正月のテレビ番組で司会が使ってしまったりするほど、浸透してしまっている恥ずかしい誤りです。

例3)日付に「元旦」と「1月」や「1月1日」を併記したケース

これは意味としては例2と同様で、「元旦」はそれだけで「1月1日の朝」を意味します。

そのため、「令和○年 元旦」が正しく、「令和○年 1月1日元旦」や「令和○年 1月元旦」などは、どちらも誤りとなります。

なお、これらは1例で、他にも「Happy New Year」の文頭に「A」を入れてしまっている例など、意味が誤っている賀詞は結構あります。
「A」が入ると「良いお年を迎えましょう」という意味になり、元旦の挨拶としては間違いになります。(=クリスマスカードではセーフ)

 

4.一筆でも手書きしよう

昨今の年賀状は、おそらく殆どの方が、年賀状印刷サービスを利用したり、年賀状作成ソフトを使って、自宅のプリンターで出したりと、パソコンやスマホから済ます方が増えていると思います。

単に手軽なだけでなく、デザインも豊富な上に挨拶文も例文が多く、選択するだけで良かったりと、非常に便利ですよね。

でも、全てが印刷の場合、たとえ手間がかかっていたとしても、先様には機械的で温もりのない印象を与えてしまいがちです。

また、相手が上司や取引先であれば尚更と言えます。
なるべくなら、たった一筆でも、年賀状の相手を想い、その方だけに宛てた手書きの言葉を添えるように心がけたいものです。

 

5.写真の使用・選び方について

年賀状への使用する写真の選び方あらためて認識しておきたいのは、年賀状は先様と新年を祝うものであるという点です。

例えば、お子様やペットの写真については、同居していない家族や、気の置けない友人、あるいは家族ぐるみでお付き合いをしているような関係の相手であれば、近況をお知らせするという側面から失礼になることはないと思います。

ただ、とても私的な印象が強いので、上司や取引先など改まった相手に送る新年の挨拶状としては、相応しくない可能性が高く、控えた方が無難です。

一方、先様にも参列いただいた結婚式の写真や、旅行先で撮ったご自身の写真等、感謝の気持ちや心身ともに充実した姿を見せるといった意味の表現にもとれる写真であれば、上司や取引先であっても、必ずしも失礼にはあたらないかと思います。

いずれにしても、宛先の枚数分を一度に印刷するようでしたら、印刷前にもう一度だけ、年賀状を届ける全ての方に相応しい写真かどうかを確認されると良いでしょう。

 

以上、上司や取引先の方に年賀状を送る際の宛名面の書き方・マナーをご紹介しました。
ご参考になれば幸いです。

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